スバルは甘い匂いが気になって、少しだけ目を開けた。
少し。
またすぐに寝られるように。
何となく、少しだけ開けるだけなら、目を閉じればまたすぐに眠りの世界に堕ちる事が出来るような気がする。
…どんな美味しい物が目に飛び込んで来るのか。
虚ろな視界が少しずつはっきりして来た。
窓からの風に、柔らかそうな長い黒髪が遊ばれている。
フワッとその髪が後ろへ流れると、あの甘い匂いがフワ~っと顔を包んだ。
「女…?」
彼女は頬杖をついて外を眺めていた。
「なんだ。誰かがお菓子でも食ってるのかと思ったのに。…コイツ、誰?」
そう思って顔を上げた瞬間、思いっ切り何かが頭を直撃した。
「イテッ!」
スバルは頭を抱えた。
「都築(つづき)、まだ1時間目だぞ」
「起きてましたよ」
「じゃあ、続きを読んでみろ」
面倒くさそうに立ち上がりながら、教科書を適当にめくった。
「ここ…」
さっきの彼女の細く長い指が、スバルの教科書をなぞった。
少し。
またすぐに寝られるように。
何となく、少しだけ開けるだけなら、目を閉じればまたすぐに眠りの世界に堕ちる事が出来るような気がする。
…どんな美味しい物が目に飛び込んで来るのか。
虚ろな視界が少しずつはっきりして来た。
窓からの風に、柔らかそうな長い黒髪が遊ばれている。
フワッとその髪が後ろへ流れると、あの甘い匂いがフワ~っと顔を包んだ。
「女…?」
彼女は頬杖をついて外を眺めていた。
「なんだ。誰かがお菓子でも食ってるのかと思ったのに。…コイツ、誰?」
そう思って顔を上げた瞬間、思いっ切り何かが頭を直撃した。
「イテッ!」
スバルは頭を抱えた。
「都築(つづき)、まだ1時間目だぞ」
「起きてましたよ」
「じゃあ、続きを読んでみろ」
面倒くさそうに立ち上がりながら、教科書を適当にめくった。
「ここ…」
さっきの彼女の細く長い指が、スバルの教科書をなぞった。

