―帰り道―
「お疲れさまでした!」
本屋が閉店し、仕事を終えたスバルが店長の優に声をかけた。
「お疲れさま。気を付けて帰れよ」
いつもの優しい笑顔を見せる。
「うん…」
「何だよ。何か用か?」
優は書類から目を離して、何か言いたそうなスバルを見た。
「あのさ、夕方、ちょっと騒ぎ起こしちゃって…」
申し訳なさそうに下を向きながら元気のない声で言う。
「騒ぎ?」
「すいませんでした!!」
上体を45度まで折り、謝った。
「あぁ、悲鳴の事か?」
優は何となく思い出した顔をする。
「あれ、ほんとは…」
「ったく、女はしょうがないよな?ゴキブリ見ただけで叫ぶんだからなぁ。でも泣く事ないよな?」
笑ってそう言うと書類に視線を戻した。
「優にぃ、あれは…」
「早く帰れよ。きっと朋がカレー作って待ってるから」
もう1度、優しく笑った。

