妹A ~5人兄弟+1~


しばらく歩くと駅前の本屋に着いた。



「ありがとう。もう大丈夫。じゃあね。バイト、頑張って」



「おぅ…」



スバルは従業員の入口へ向かい、つかさは店の中へ入った。




「…っと、どこにあるのかなぁ?」



ゆっくり歩きながら雑誌コーナーを軽く眺めた。



「へぇ。みんな目が大きくてパッチリしてるのね…。うわぁ、このヘアースタイル…、すごい。歴史の教科書に載ってるフランスの王妃だ…」



ファッション雑誌の表紙のモデルを見ながら思わず呟いた。



パソコン…車…バイク…釣り…



一応、並んでいる本の表紙は目でなぞって行く。


海外が長いとはいえ、両親に日本語はしっかり教えられて育った。
だから、困らない程度の漢字も読める。



「綺麗…」



思わず1冊の本の表紙に目が止まった。



キラキラ眩しい海と空。
真ん中には大きな魚が写っている。



思わず手に取り、見入った。



「釣り、好きですか?」



「えっ?」



つかさの後ろで男の人の優しい声がした。



背はそんなに高くはない。
髪は少し茶色。
目尻を下げて笑うその顔に、こちらまでつられて微笑んでしまう。



「いえ、あ…ただ、この海と空が綺麗だなぁって」