妹A ~5人兄弟+1~

声に気付いたスバルが振り返った。



「映画!さっき言ってた映画のチケット!」


麗花が右手を大きく振る。



「あぁ、悪い。また後でな。急ぐんなら他のヤツ誘ってくれ」


大声でスバルが返す。



「そんな…」



スバルはまたさっさと歩き出し、つかさはニッコリ会釈した。



「誰よ…アンタ…」



握ったチケットがくしゃくしゃになって行く。



「アンタには渡さないからね!!」



小さく呟いたつもりがつい力が入って、周りに聞こえてしまっていた。



「怖っ…」



生徒たちが小声で呟くのが聞こえた。



「ちょっと…、あの、何でもない!何でもないからね!」



麗花は作り笑いを振りまきながら、スバル達とは別方向に早足に消えて行った。