妹A ~5人兄弟+1~

「オレ、もう行くわ」



空が立ち上がった。



「今日、遅いのか?」



「いや、今日はそんなに遅くならないな。学校終わるの早いし、すぐバイト入れてるから」



「気を付けて行けよ」



「うん。…じゃあ、優にぃの良い報告、期待してようかな?妹Aが無事発見出来るますように」



「妹A…?」



「名前が分からないんだから呼びようがないだろ?とりあえず、妹Aで」



空が言った。



「まっ、とりあえず…それでいっか」



「妹AのAはどっから来たの?「あ」から始まる名前って事?『愛子』とか『ありさ』とか…」



「朋にぃ…、朝からボケないでよ。疲れるからさぁ。ただのABCのAだよ。少女AとかのAだよ。深い意味はないよ」



「そうなの?」


朋はもうひとつ、分かってない気がした。



「朋、早くしないと仕事遅れるぞ」



駿が湯呑みを流しに片付けながら急かす。


「あっ!ヤバイ!今日、通園バスに乗る当番だったんだ!もう行かないと!戸締まり、駿にぃに任せたよ。空、途中まで一緒に行こ!」



「チャリの後ろに乗りたいだけだろ…」



玄関に向かっていた空は小声で言った。