―透明な朝―
「スバルは?」
出掛ける支度をした優が台所に入って来た。
「さっき帰って来て部屋にいるよ。寝てるかもしんないけど」
台所でテレビを観ながら、マーガリンをたっぷり塗ったトーストを食べていた朋が返事をした。
「あっ、バイトは行くって言ってたよ。優にぃも仕事だよね?」
「うん。今日さ、ちょっと遅くなる」
「用事?」
朋がテレビから目を離す。
「うん。頼んでた探偵事務所に行って来る」
「妹の事?」
少し空気が重くなった気がした。
「あちらのご両親にも会っておきたいしな。ちゃんとお礼を言わなきゃな」
優の優しい笑顔も今は苦しく映る。
「そう…だね」
朋がうつむいたのは、今の兄弟の状態があまりにも辛過ぎて、言葉を発する事を無意識に拒否したから。
「妹をなるべく傷付けたくないからな。あちらとの話し合いで、もしかしたら今は教えないかもしれない」
優は静かに、自分に語りかけるように話す。
「優にぃ、それでいいの?」
たまらず朋がぶつけた。

