スバルはゆっくりと体を起こす。



「いつから?」



「いつからかなぁ」



スバルは優の、このおっとりとした、空にフワ~っと浮かぶ雲のような雰囲気が子供の頃から好きだった。



「何でここが分かったの?」



子猫のような丸くてツンとしたスバルの目が、緊張の糸がほどけたように穏やかさを帯びて行く。



「お前が来るならここだろ」



優しい語り口調は気持ちを落ち着かせる。




ふと体を見たスバルは、大きなバスタオルがかけられている事に気付いた。



「…ありがとう」



照れて言うスバルに、優は少し微笑んで軽く頷いた。



「飯、食うか?」



そう言って紙袋からラップに包んだおにぎりを取り出す。



「お前の好きなツナだから。朋が持って行けってうるさくてさ」



お茶のペットボトルも一緒にスバルに差し出した。



「どれかひとつ、梅干しが入ってるらしいぞ」



ちょっと楽しそうに優が笑う。



「朋にぃらしいな」



スバルはようやく少し笑った。