―夏空―





どれくらい時間が経ったのだろう。



スバルの頬を濃い緑色のクローバーの葉がくすぐった。



「あっ…」



いつの間にか川の土手で寝てしまっていた事に気付いた。



深い闇だった空は薄く明け始めている。



スバルは起き上がらずそのまま反対側に寝返りを打った。
草の香りが…飛ぶ。




「えっ!?」



「起きたか?」



スバルの隣に、明けようとする空をじっと見つめる優がいた。



「何で?」



スバルの瞳が固まる。



「久しぶりにゆっくり夜空を見たよ。まぁ、星座なんて北斗七星しか分からないけどな」