―帰り道―



「スバルは?」



風呂から上がった優が髪を拭きながら台所に入って来た。



「まだだよ。バイトじゃないの?」



食器を片付けながら朋が後ろ向きに答える。



「いや、今日は入ってない」



優はチラッと時計を見た。



「子供じゃないんだから大丈夫だよ。ほんと優にぃはスバルの事子供扱いしすぎだよ」



朋はサッサと綺麗に食器を片付けて蛇口をキュッと閉め、タオルで手を拭く。



その一連の動作が慣れていて違和感ない事に優は胸が痛んだ。



「はいよ」



朋は冷蔵庫からよく冷えたビールを取り出して優の前に置く。



「サンキュ」



プシューッと爽快な音を立てて缶を開け、ゴクッと喉を鳴らした。



時計の針は夜の8時を指している。



「まだデートしてるんじゃないの?」



優の斜め前に座っていた空が週刊マンガのページをめくりながら、ちょっと意味ありげな口調で言った。