「そうだ。今朝、園庭にいた時にさ、スバル見たよ」
「スバル?」
駿は嫌な予感がした。
「なんかさ、めちゃめちゃ綺麗な子連れててさぁ。手、繋いでどっか行っちゃった」
追加で注文した焼きそばを食べながらサラっと言う。
「………」
「彼女なのかなぁ。…彼女だよな?手、繋いでたもんな。…あっ!学校!!アイツ、サボりだよ。駿にぃ、怒ってよ。スバルまた留年するよ」
バクバク食べる口は休めず、たまにチラッと駿を見ながら話す。
留年の事はほんとに気になっているようだ。
「彼女…?」
さりげなく言った朋の言葉が引っ掛かる。
駿はぼんやりと遠くを見るような目をした。
「駿にぃ?大丈夫?」
「あっ、あぁ…、ちょっと疲れた。帰る」
伝票は持たずに立ち上がり、さっさと店を出て行く。
「何でお好み焼き食べて疲れるんだよ!…って!!ちょっと!おごりじゃなかったの!?待って!駿にぃ…あっ、すみません、ちょうど置いてますから!ごちそうさま!!待って!駿にぃ!!」
朋は駿の後ろ姿を慌てて追いかける。
少しずつ時計の針は左に向かって動いて行く。
夕暮れに流れる雲は真っ直ぐに空を切っていた。

