―押さえつける心―



優は誰もいなくなった台所で、まだじっとしていた。



時間が…気になる。



「時計、壊れてるんじゃねぇの?」



いつもよりかなり動きが遅いような気がする。



いつだってそう。



楽しい時間はあっという間に経って、待っている時間は何倍も長く感じる。



この不条理にはいつも疑問を抱いていた。



人の心の持ちようで、こんなにも感じ方が変わるものが他にあるだろうか。



「でも、人に平等に与えられているのは時間なんだよな」



力無く、ぽつんと呟いた。