「ほら、行くぞ!」
台所で牛乳を飲んでいた空に駿が慌ただしく声をかける。
「は~い。今行く」
ゴクリと飲み干すと、いつもよりぼんやりとしている優をチラッと見た。
「行って来まーす」
おそらく空の存在に気付いていないだろう、その顔に控えめに言った。
(おかしい…)
何かを感じつつも、声はかけなかった。
「早くしろって!」
ちょっと苛立った駿の声が外からした。
「お待たせ」
大して急ぐ素振りも見せず、空がゆっくり車に乗り込む。
「お前さぁ…、オレが急いでるの知ってんだろ?ちょっとは急げよ」
アクセルを踏みながら呆れたように言う。
「急いては事を仕損じるって言うでしょ?」
空はすまして前を向いた。

