妹A ~5人兄弟+1~

「あぁ、残念。だし巻き」



「だし巻き?ねっ、その玉子焼きひとつと私のお弁当、交換しない?」



「お前の弁当と?」



「そう。まだ食べてないから。お箸つけてないから綺麗よ」



「いや、箸つけてて構わないんだけど」



「えっ?」



「いやいや。…マジで?お前はどうすんの?」



「私?実は昨日、食べ過ぎちゃって。久しぶりに焼き肉食べたのよ。普段、ご飯はセーブしてるんだけど。焼き肉ってご飯が欲しくなるでしょ?3杯もおかわりしたのよ」


つかさは指を3本立てて、自慢げに前に突き出した。



「3杯って。お前、結構食べるんだな。まぁ、焼き肉じゃ、食べるよなぁ。上手いもんなぁ」



「好き?私カルビが好き!でも、結構、豚肉も美味しいのよ」



「おっ、分かるね!豚、結構上手いよな!駅前の肉屋の味付き塩ダレがめちゃくちゃ旨い!」



「あー!もしかしたらそれ、食べたのかも。塩ダレのがすごく美味しかった」



「じゃあ、そうだ。肉屋のうしちゃんのだ」



「詳しいのね」



つかさは思わず笑った。



「オレん家、親いないからさ。兄貴たちが忙しい時、オレが買い物に行くんだ」



「そうなの…」



言った後でスバルはハッとした。



(何、初対面のヤツに喋ってるんだ…)



「…ほら!」



スバルは弁当箱の蓋に玉子焼きをふたつ、乗っけた。



「朋にぃのだし巻き玉子は天下一品だからさ。特別にふたつやるよ」