優はただ呆然と立っていた。 あまりに予想外の出来事がいきなり起きて、頭がかなり混乱している。 少し… 少し、好きになりかけていた。 淡く抱いた気持ちは一瞬で泡になった。 久しぶりに感じた恋心。 妹を見つけた安堵感と大切なものを失った喪失感が同時に襲い掛かる。 「だから…、だからオレはみんなが幸せになるまで恋なんかしちゃいけなかったんだ」 つかさの生徒証を握りしめながら優は悲しく呟いた。 「つかさ…あの時、あんな小さな赤ちゃんだったのに」 優の目に、涙の雫が大きく揺れた。