―屋上の高い空―
昼休み、スバルは屋上にいた。
「これっぽっちじゃ、足んねぇよ」
弁当箱の中にはたっぷり敷き詰められたご飯と玉子焼きが3切れ、ウインナーが3本。
「わざわざ、カニさんウインナーにする意味が分かんねぇ」
上手く出来ているカニさんウインナーをまじまじと眺めながら言った。
「変なとこに手間かけるんだよなぁ。朋にぃは」
ちょっと嬉しそうに微笑むとパクっと食べた。
「旨い!」
「そんなに美味しい?」
「腹、減ってるからな。…って…はぁ?」
同時にほのかに甘い香り…
「お前…」
「こんにちは」
後ろに立っていたのは夏川つかさ。
まだ横顔しか見た事がなかったスバルは、思わず見入ってしまった。
サラサラのストレートな長い黒髪、二重瞼の大きな目、口角の上がったキリッとした口元。
何よりその笑顔が花が咲いたように可愛かった。
「…落ちる!」
「あっ!あぁ…。セーフ…」
思わず玉子焼きを落っことしそうになった。
「その玉子焼きは甘い?辛い?」

