妹A ~5人兄弟+1~


―屋上の高い空―



昼休み、スバルは屋上にいた。



「これっぽっちじゃ、足んねぇよ」



弁当箱の中にはたっぷり敷き詰められたご飯と玉子焼きが3切れ、ウインナーが3本。



「わざわざ、カニさんウインナーにする意味が分かんねぇ」



上手く出来ているカニさんウインナーをまじまじと眺めながら言った。



「変なとこに手間かけるんだよなぁ。朋にぃは」



ちょっと嬉しそうに微笑むとパクっと食べた。



「旨い!」



「そんなに美味しい?」



「腹、減ってるからな。…って…はぁ?」



同時にほのかに甘い香り…



「お前…」



「こんにちは」



後ろに立っていたのは夏川つかさ。



まだ横顔しか見た事がなかったスバルは、思わず見入ってしまった。



サラサラのストレートな長い黒髪、二重瞼の大きな目、口角の上がったキリッとした口元。



何よりその笑顔が花が咲いたように可愛かった。



「…落ちる!」



「あっ!あぁ…。セーフ…」



思わず玉子焼きを落っことしそうになった。



「その玉子焼きは甘い?辛い?」