「おはようございます!」



優の横から声がした。



「おはようございます。えっ?」



本を並べながら反射的に挨拶した優は顔を見て驚いた。



「昨日の…人ですよね?」



「そうです。昨日の人です。覚えててくれたんですか?」



つかさの大きな目が優をしっかり映し出す。



「可愛いから…」



珍しく照れながら小さな声で言った。



「えっ?」



「あ…いや、学生…ですよね?星華高校じゃないですか?」



「そうです!えっ、制服に詳しいんですか?」



「制服に…?それじゃただの変態ですよ」



優が笑う。



「学校は?サボり?」



「ちょっと寄り道。なんか本が見たくなって。本屋って落ち着くんですよね」



つかさは側の棚の本を眺めた。



「分かります。本の持つ独特の雰囲気とか、見てるだけでも落ち着きます。気付けば夢中になってるし…」



優は持っていた本を見つめる。



その目はとても優しく表情も柔らかで、本を愛おしむ気持ちが伝わって来た。