―近づく距離―




「何だよ。アイツどこだよ!」



スバルはあれからしつこく追いかけて来る麗花をまいて、急いで学校まで来た。



もちろん、校門でつかさが待っている訳はなく、学校に来たかどうかも確信が持てない。



「来てなきゃ探しに行くか…」



右手に持ったぺしゃんこの鞄を右肩に乗せると、ため息をついて校門をくぐった。



下駄箱でつかさの靴を確かめる。



「来てないか。…って、今時、ラブレターこんなとこに置くヤツいるんだ」



つかさの上靴の上に封筒が置いてある。



スバルは躊躇する事なくそれを取り出すと差出人を確認した。



「遥斗!?…アイツ、古典的な手、使いやがって」



フッと少し笑うと封筒を元に戻した。



「マジなんだな…」



小さく呟いた。