「あ…サンキュ」



彼女のこぼれるような笑顔が、つまらないこの教室を明るく変えた瞬間だった。



(コイツが…転校生?)



スバルは授業の間、ずっと彼女が気になって仕方なかった。



気になると不思議なもので、意識して見れなくなってしまう。




「おい!」



休み時間、遥斗が近付いて来た。



「手、出すなよ」



「何?誰に?」



「その……」



遥斗はスバルの耳元に顔を近付けた。



「夏川(なつかわ)だよ。夏川 つかさ」



「夏川 つかさ?」



「朝言ってた転校生だよ。お前が寝てる間に来たんだよ」



「ふぅん…」



チラッとつかさを見た。



数人の女の子達に囲まれている。



(どけよ。見えない…)



「お前さ、顔、イイから。あんまり彼女見るなよ」



遥斗はスバルに釘をさした。