―始まりの朝―



「早く出てよ!」



「待てよ。次オレだからな!」



トイレのドアを叩く駿(しゅん)に、後ろからスバルが怒鳴った。



「バカ、オレだよ。急いでるんだからなっ!」



「オレはさっきからずっと待ってんだよっ!」



カチャ。



「…おはよ」



寝ぼけ眼でトイレから長男・優(ゆう)が出て来た。



「次はスバル」



優が言うなり、五男・スバルがニヤッと笑って素早く入った。



「優にぃはスバルに甘いんだよ!」



「朝から血圧高めなんじゃないの?ヤバイよ、駿くん」



微笑みながら次男・駿の肩を叩いて優は洗面所に消えた。



「オレは低血圧だよ!」




「みんな~、朝ごはん出来たよ~」



三男・朋(とも)がエプロン姿で台所から声をかけた。
ぽつり、ぽつり、みんなが集まって来る。