なんと答えるべきか迷っている間に、教室中の生徒どもがブーイングにも似た歓声を上げる。


「貴様!!その可憐な唇を奪ったのか!!」


「ぶっ殺す!!その前に間接キスでも良い!させろ!!」


「そうだそうだー!!」



奴らは本気だ!!

命のみならず俺の唇まで奪うつもりか!!



「ダメだーーーーッ!!タイちゃんの唇は僕の物っ…こらっ押すんじゃない!!」



嗚呼……京太郎までやってきた。



「ふふ…楽しいねっ」


「この状況で笑ってんのはお前だけだよ、空澄」



どうやってこの場を収めるかを一生懸命考え、大人しくむさくるしい男どもに唇を差し出そうかとまで考えた時。



「何を騒いどるんじゃ家畜共!!おらっ!自分の小屋に帰れ!猟犬を放って欲しいか!!?」



副担任が暴言を吐きながら現れたーー!!


近くに居た男子が講義する。



「家畜って…PTAと教育委員会に訴えてやる!」

だが。

「へっへーんだ。そんなもん怖かねーんだよ!俺んちの父ちゃん国会議員だし。揉み消すし」


「な…ッ!?なんという非道な人種…!!鬼!悪魔!キチガイ!!」


幾ら訴えても、この男には口で敵うまい。


「なんとでもおっしゃい!!金に糸目を付けないのが俺様の性分じゃ!!

そんな事より座れ――!!ハウス!!」


甲高い声で高笑いをしながら生徒達を席に戻していた。