だが。
ブラスカさんは怒ったまま、今度はその矛先を俺と空澄に向けてくる。
「んで、テメェらは何なワケ?
見るからに貧相な顔してんじゃんか。特にテメェ。見るだけでムカついてくんだけど」
「はぁッ?俺ぇ!?」
彼女が目を付けたのは どうやら子ヒツジのように震える僕のようです。
何なんだ…!!初対面ですよ!?
何の恨みがあってそんな事言われなきゃなんねぇんだよ!!
……とは、怖すぎて言えませんでした。
俺は、ブラスカさんのタバコ臭い息と闘いながら必死にその場をやり過ごす。
暫し“蛇に睨まれた蛙”状態と沈黙に耐え やがて睨み飽きた蛇…ってかサソリは
『ふんっ』と言いながら顔を背けたのだった。
やった…!!生きてる…!!
「…そろそろ話の続きを始めても良いかな?」
一部始終を見ていたクセに、助け船の一つも出さなかった空澄が沈黙を破った。
そう言えば、最初に空澄が話そうとしてたんだったな…。
空澄は『ゴホン』と盛大な咳払いをしてから
「ガンノードが生徒たちから奪ったものは
“愛する”という気持ちだ」
そう 切り出した。