お母さんが私に、浴衣を着付けている。


お母さんが私に…


うれしかった。


お母さんはまた手慣れた手つきで帯を巻き、私をドレッサーの椅子に座らせた。


うれしくて、涙が止まらなかった。




お母さんはティッシュで涙を拭いてくれた。



そして、私に化粧をしてくれた。



お母さん…化粧上手だな…


私なんか、3分メイクで適当なのに。




お母さんはほどよく、薄化粧をしてくれた。



そして、私の髪をとかしてくれた。




お母さんが髪をとかしてくれたのは、何歳の頃だっただろう…




まとめあげるには、少し短い私の髪の毛を

ピンで上手にまとめあげてくれた。



そして最後にお母さんとお揃いの花のかんざしをさしてくれた。





「お母さん…ありがとう」





お母さんは何も言わなかった。