エレベーターのドアが開くと薄暗い廊下があった。

アビーはチカチカと点滅する蛍光灯の下を進むと、一番奥にあるドアの前に立った。

そのドアには
“アビー探偵事務所”
と表札が掛けられていた。

アビーはドアを開け、そこから手を伸ばし
電気のスイッチを“パチッ”と入れた。

「どうぞ。」

アビーはイシュに先に入るよう促した。

イシュが恐る恐る中に入ると、そこには
事務机と小さな応接セット、そして小さなキッチンが備え付けてあるだけの
小ぢんまりした事務所だった。