千鶴子からの突然の小包みが届いたのは、 秋が足早に通り過ぎ、冬の気配が感じられる十二月初めのことだった。 正確には、送り主は、彼女の遺言執行を依頼された法律事務所。 中には、何枚かの書類と一枚のCDが入っていた。 CDの面には、 〈繁徳へ 千鶴子〉 と、油性のマジックで大きく文字が書かれている。 (……千鶴子さんの自筆だろうか?) それは、力強く、右上がりに癖のある、独特の字体だった。