しあわせってなぁに?


『なんで、僕は生きているんだろ』


 屋上で授業をサボりながら、妙に哲学的なことを自嘲ぎみに呟く午後。

『生まれちゃったからじゃない?』

 笑顔だけが取り柄という彼女――梨依ちゃんは幸せそうに微笑んだ。

 えっと、

 ところで幸せって何だろ?

 ううん…
 また、問題が増えた。

『なんで生まれたのかな』

『きみは何にでも、意味をもたせたがるんだね……。意味無いと、安心出来ない?』

 そう言うと、梨依ちゃんは僕の頬に唇を寄せてキスをした。


『キスにも理由が必要?』

『君と出会ったのも理由が必要?』


 梨依ちゃんは僕に聞く。
 僕は答えられない。


『意味がないから面白いこともあるよ。もし、生きることに意味があったり、やらなきゃいけない使命があったら、すごくつまんないと思うな。君との出会いも、こんなに幸せ感じたりしない』

 溢れんばかりの笑顔でそんなことを言う梨依ちゃん。


 僕はそれに少しだけ幸せを感じた。