「城に入るんだろ?だからの忠告だ。この城、つうか、城のバラ迷路にヤバい奴がいるらしくてな。
前にここに来た奴――三月ウサギとか名乗ったあいつは八つ裂きにされた」
「八つ裂きって……」
「そのまんまの意味だ。城の女王に招かれたとかで、招待状持った奴だったから俺は何もせずに通したんだけどよ。
数十分後、見るも無残なぼろ雑巾姿でこっから出てきたんだよ。タンカで運ばれてな。何があったんだ、てタンカ担ぐトランプ兵に聞けば、『ウサギだからやられたんだ』って、ほざいていた」
アダムと姫の目線は、ぴょこぴょこしたウサ耳にいった。投げられた視線に、じろじろ見ないで下さいっと恥じるクロスはともかくとして。
「なんかよ、ウサ耳嫌いな奴がいるらしい。実際にタンカ乗ったウサギは、もう“ウサギじゃなくなっていた”」


