姫様とウサ耳はえた金髪童顔



「姫、どういう……」


「事実を言っているまでです。殺すか殺されるかの戦いで、あの方は“殺すのをやめた”。戦う者として誉められたものじゃない。

まあ、もっとも。こんな世界でも殺し合う人たちの方が誉めるべきではない」


男二人が黙り込む。
クロスに関しては息を呑むような感じで。感情を出さないアダムに至っては無言でいたものの。


「やれやれだ。どうやらあんたも“同類”らしい」


ふざけた感じになった男。かすかだが、その口振りに姫の目が細められた。


「人の気持ちをよく見ている。切羽詰まった殺し合いに観客として怯えるではなく、一出演者として割り込んできやがって……。ついで、あんたが見たのがよりにもよって“そこ”ときた。

“殺す側の人間が持つ弱み”をよく見ている。そんな奴を俺は見てきたことがあるが、どいつもこいつも――」