だというのに、こいつの瞳は震えるどころか、殺す側の喉にいつ食らいつこうかと真っ直ぐだった。
犬を思い出す。
灰色の街。餌求め、自分を襲ってきた野良犬を相手にした時。足を撃ち、動けなくなってとどめさすというあの状況と今は似ていた。
真っ直ぐな目。命ごいも、憎しみも、死ぬ怖さもない。――ただあったのは。
“必ず殺してやる”
敵に向ける純粋な、“ただそれだけのことたる殺意”。
「チッ、優しい騎士様と思ったんだがな。あんなお姫様がいんだ。
てめえの目、何度も死にかけてんな。そうして、死体も見慣れている。だから怖くねえんだろ。死ぬことも、殺すことも。
――案外、俺なんかよりもてめえの方が、人殺してんじゃねえのか?」


