姫様とウサ耳はえた金髪童顔



――の前にっ、とアダムが足でクロスを蹴り飛ばした。


崩れそうな体勢での蹴りだ。威力はアダム自身、期待していなかったように、蹴った相手は倒れもしない。だが、間合いはあいた。クロスの刃が届かないほどの間合いが。


――銃を向ける。


「っ……!」


「動くなよ、クロス。俺の勝ちだ」


完璧なる詰め(チェックメイト)。

引き金を引けば終わるアダムと違い、クロスは剣を掲げてもいない。


クロスの頬に汗が伝う。殺される側の奴だというのに、クロスの目は怯えの一つもなかった。


諦めていない、ではなく、負けていないという意思が瞳に宿っていた眼。


「獣かよ、てめえは」


見覚えある眼差しにアダムは言う。人間ではない。銃を向けられた人間はみな、瞳が震えるものだ。