* * *
信じてはいるが、姫の不安は残るものだった。
クロスが本気で戦えるように遠くまで――二人が見えない距離まで来たわけだが。
「ミィ……」
とぼとぼと歩いてきた白猫と出会った。
どうかしましたか、と姫はしゃがみこんで猫を撫でる。
「ミー」
「ふむふむ。あー、落ち込まなくていいですよ。あの門番さんは、ミーさんを嫌っているわけではありません。
ツンデレというやつです。『べ、別にあんたに危害が及ぶとか、それで突き放すわけじゃないんだからねっ』なんて照れ隠しですよ、ミーさんを遠ざけたのは」
「ミィ」
「そうです、そうです。優しいご主人様だ。……だから、大事には至らないと思いますが」
姫の目線が今来た道――クロスたちが戦っているであろう場所に向けられる。


