私がバカでしたと笑い、姫はその頼もしい背中に触れ、離れた。
邪魔になると、なるべく遠くへ。道を外れて獣道らしい木々のまにまに姫は消えた。
「ミー」
「あー、お前もどっか行け。うっとうしいから」
「ミィ……」
猫もいなくなる。
邪魔者がいなくなった、二人だけの舞台。
風が吹く。白髪の前髪が揺れ、奥にある裸眼は目を細めていた。
「俺は銃撃つに関しちゃあ、自信があるんだ。背中越しにいる間抜けだって、腹に穴あけることぐらいできる」
感覚が逸脱してんだと、白髪は言って。
「だから、てめえから目え離そうとも、来たら撃つって思っていたんだが」
このざまだ、と白髪は自分に笑ってみせた。
油断していたわけじゃない、見くびっていたとも言いたげに。
「名前は?てめえは、人間として相手してやるよ」
ウサギ狩りを中止にし、白髪はクロスを獲物ではなく敵対者としてとらえていた。


