重い空気。寒気、ぞわりと淀む空気が辺りを取り囲むような敵意。
それらは全て、彼女から出ていた。
「壊されたくなかったら、大人しく下がりなさい。あなたにとっての“毒”を浴びたくなければね」
初めて白髪が、彼女を見る。笑いはない。あるのは真面目な――獲物ではなく、敵を見るような顔は余裕口を黙らせていた。
ただ黙らせようとも、手は動いている。クロスに向けられた銃口が微かに揺れ。
「姫、俺はこんな男に負けなどしないっ」
空気を変える声が響いた。
敵対していた二人が、クロスによって離れる。
敵から目を離すなとは誰が言ったか。白髪が視線を外したのを好機とし、クロスが攻めた。
白髪に体当たりをし、姫から離す。
倒れはしなかったものの、馬鹿力たるクロスの体当たりのせいでだいぶ距離は空いた。


