荒げた声。はっとし、上にいっていた目線をもとに戻せば。
「敵から目ぇ、離すなよ」
“自分の目の前”に、あの白髪がいた。
息を呑む。
危ないと思う前に攻撃を受けたこの恐怖。
腹に鈍痛。胃のものが、上に押し出される一瞬の圧迫。
蹴られた。前から後ろ体がよろめき、倒れ込む。どれほどの脚力か、白髪との距離が三メートルは離れて。
かはかはと咳をする――暇さえ与えてくれなかった。
立ち上がる白髪が手を上げて何かを取る。取った手には拳銃――あの投げた拳銃をこちらに向けて。
「――っ!」
撃たれた。
とっさの機転が聞いたか、剣の腹を盾代わりにしたおかげでクロスはことなきを得たが。
今の攻防で、この白髪の強さをクロスは実感した。


