クロスの声を聞き、白猫が立ち上がる。尻尾をぴんと立てて威嚇、でも、どこか遠くでも見るような目をした白猫は。
「ミー」
「ミーはそれでも門番にゃんだ」
クロスたちと対峙をした。
役柄があり、役目を果たそうとする姿勢。
縁があっても、許されない情はある。
一緒にここまで来た白猫。騙されたとしても、姫たちにとってはたった一匹の猫に過ぎず。
「ミーさん……っ。それでも、私たちはあなたのことを」
仲間だと思っていたとは、最後まで言えなかった。
「迷ったやつが、なーに言ってやがる」
感動シーンをぶち壊す乱入があったのだから。
へっ、と見れば、今まで喋らなかった白髪が白猫の首もとを掴みぶらぶらとさせていた。


