「ま、まさか……」
図らずも、姫と同じリアクションをしてしまったクロス。
そうせざるえまい、何せ、今まで自分たちと付き添っていた猫一匹が。
「私たちは、最初からミーさんに騙されていたんですよ」
後ろからした姫の声に、クロスは認めてしまった。
猫なんかに、ただの獣一匹に騙されたということを。
「私たちは大きな間違いをしていた。アリスという物語を知っているからの誤解。序盤に現れた猫をチェシャ猫と思い込んでいましたが」
「ミー」
「そう、最初からミーはお前たちの敵だったにょだ。ミーの役柄は、ここの門番にゃ」
「っ、だから真っ先に俺を襲ったのか……!」
「確かに今考えるとおかしかった。本来、私たちの案内人たるチェシャ猫が白うさぎを襲うなんて……、ウサ耳とネコ耳のバトルだと解釈していましたが」


