「門番は、“二人”いるんですよ……っ」
大詰めに入った彼女。
猫を見ながら震えているのは迫真の演技を超えて、大げさすぎる三文芝居になっていた。
「二人……?他にもまだ誰かいるんですか」
「ミー」
「姫、安心して下さい。隠れて襲ってくる奴など、俺にとっては造作もありません」
「ミー」
「さあっ、隠れてないで出てこい!騎士たる俺と、正々堂々勝負しろ!」
「ミー」
「だーっ、うるさいな、くそネコ!いちいち鳴くなよ……って」
白猫をみて、クロスが硬直する。
知ってしまった事実。
門番は二人いると言っていた。そうして、クロスたちの前、門を守るかのようにいたのも二人。
片方は一匹だが、見ようによっては“それらしく見える”。


