姫様とウサ耳はえた金髪童顔



律儀にも翻訳をつけてくれるのはありがたいが、意味不明は続く。


「ミー」
「やれやれ、やはり変態は気づかないにょか」


「……、姫、翻訳してないで、説明をお願いします」


「クロス、私たちは……大きな勘違いをしていたのですよ」


唇を震わせながら――この人は女優かと言いたくなるほど大げさなリアクションをする姫には、クロスもまた首を傾げるしかない。


大きな勘違い。
言われて、猫を見る。そうしてこの場所。……やっぱりクロスには分からなかった。


「アリスの話には、城に行く前に門番というものがいます」


「えっと、それがあの男ですよね」


「ええ、あそこにいるということは紛れもなく門番。でもね、クロス」


唾を飲む姫。額から汗でも出そうだ。ふざけてやっているのか本気なのかは知らないが、推理小説のクライマックスにさしかかったような雰囲気を彼女は出し。