「……、おかしい」
言ったのは姫だった。
飼い主とペットが並んでいる場面を見ての一言。どこか深刻そうな表情は何が言いたかったのか。
「ミー」
ちょうどよく猫が一鳴きをし、クロスたちに向き直った。
行儀いいお座りをし、尻尾をゆっくりと動かしながら。
「ミー」
「っ、まさか……!」
「姫、よく分からないんですが……」
何故か焦る姫にはそう言いたい。猫相手によくもまあこんなリアクションが取れるものだ。
状況説明を求める前に、猫がまた鳴いた。
「ミー、ミー」
「にゃはは、さすがはささみくれた人にゃ。変態と違って気づいたようだにゃ。――や、やはりそうでしたか、ミーさん!」
「あのぅ……、ぜんぜん話が見えないんですが」


