タイル上に座る男。門を背もたれにしてこちらに足を伸ばしていた。
ガラが悪い。一見すればそんな男。目まで伸びたかからしそうな髪から見えた眼差しは――クロスの腰の剣に向けられていた。
へえ、と立ち上がり、珍しそうに男はクロスたちを迎えた。
「剣か、初めて見たわ、それ。腰に掲げているんだ、使えんだろ?」
男が近づく。
ガラが悪いとだけで、クロスにとっては危険因子。姫が何かされるんじゃないかと彼女を守るように彼は一歩前に出たわけだが。
「あ?お前、そんなとこで何してんだ」
と、男がよく分からないことを口にした。
物珍しそうな顔から、呆気にとられた顔。知り合いを見つけた口振りだが、クロス、姫、共に男は知らない。


