「猫とて歌いますよ。にしても、何だかミーさんの機嫌が良いですねぇ。何かありましたか?」
「ミー、ミィ」
「チョコ板もぐもぐにゃー」
「まだ歌っているんですか……」
「ええ。猫にチョコはダメだというのに」
気にするのはそっちですかと、クロスが半笑いしていれば――あるものが見えた。
門。銀の鉄柵が連なる大きな門が目の前にあった。
巨人でも住んでのかというほど無駄にデカい。門の向こう側は、バラの茂みがあり庭園のようだ。
庭園の向こうには城一つ。大聖堂みたいな造りの城で、丸い屋根が印象的だった。
城への入り口。
そう察するのは早い。姫が言うところのゴールかと思えば。
「なんだ、またウサギかよ」
門の前に、一つの障害があった。