「君がピンチならば、俺はどこにいようとも駆けつけよう」
変わりに出たのはそんなこと。
なんだそりゃとクロスがハテナとしていれば、姫はそうですかと満足げに頷いた。
「待っていますよ、どこででも。あなたもまた、私にとっての大切な人なのですから」
「ありがたく受け取っておこう」
簡単なやり取りをロードとし、立ち去る準備はできた。後はお世話になった主催者にお礼を言おうと。
「ああ、私としたことが。主催者さん、お名前をお聞きしたい」
「名前、言ったとおり私は役柄なんかなくてねぇ」
「いえいえ、あなた『本来の名前』はあるでしょう。この世界はオリジナルではなく、寄せ集めの舞台なのですから」
「まあ、あるにはありますけどね。お姫様に聞かれちゃあ答えなきゃいけないか」
改まったようにして、主催者は言う。


