姫様とウサ耳はえた金髪童顔



「気に入らないって、それは……」


正直、クロスには主催者が何を言いたいか分からなかったが。己自身を気に入らないという点では思い当たる節がある。


目が自然と姫に行く。騎士たる自分、だがまだ足りない、力不足だと彼は感じていた。


一国の主であり、何よりも大切な人だ。守るのには力が必要で、有り余るということはない。実際にクロスは毎日鍛錬を欠かさずに日々精進をしているが。


「はえてきたものに何かしら意味があるのか、もしくは与えられた役柄が重要なのかは見方の問題になるかもしれないが。

騎士様よ、あんたはまだお姫様を守るに関して適任じゃないと言われているんじゃないのかい」


「っ、そんなはずは……!」


「白うさぎは、アリスから逃げる役だ。こうしてアリスたるお姫様と一緒にいることは“望まれてないし”。だらしないウサ耳はやした騎士様に、誰かが守れるとはコメディになっちまう」