姫様とウサ耳はえた金髪童顔



流血シーンなど慣れっこたるクロス。耳の二つぐらいへっちゃらだ、夢なんだからと。単純バカは剣を手にしたが。


「自分の体にあるものに、何一つとして無駄なものはないんだぞ。騎士様」


湯のみを手にした主催者が口を出してきた。


「無駄に決まっている。こんなウサ耳なんか。言っておくけどな、別に遠くまで音が聞こえるとかそんなスキルはない」


「それでも、自分の体に出来ちまったもんだ。望まなくてもあるもんはある。いくら痛い傷跡を望まずとも、残るんだよそういうのは。もう二度と同じ失敗を繰り返さないように、な」


「失敗って……、そもそも俺は何を失敗してウサ耳になったかも知らない」


「ははっ、自覚なしってか。あんたが言うところの耳は、そこのシルクハットが言うとおりにだらしなくしまりがない。あんたとて、気に入らないのだろう。

己自身を気に入らない。分かるか?重要なのはそこだ」