「すっ、素晴らしいって……!俺は姫を守るのは当たり前というか、それこそ使命ですっ」
「騎士様よ、そうやって、一人の女に己が命を費やすのはよっぽどの美談とは思わないかね」
「っっ!へ、変な意味はないっ。俺は純粋に姫を守りたいと」
「こらこらクロス。人様の前でそんな熱心に語らないでほしい。私も照れてしまいますよ」
照れると言っているが、姫の顔はいつも通りに涼しい顔で――クロスが赤面しているのと相反していた。
遊ばれてるっ、とクロスが気づいたのはこの時。
弁解しているはずが上手い具合に二人のペースに巻き込まれてしまう。どんなに説明しても結局は、『そんな気持ちがあるのではないか』と疑われてしまう。
「お、俺は……!不純な気持ちは一切なくっ、騎士としてあなたをお慕いしているのです」
「それは少し悲しいですね。私はあなたを騎士としてではなく、善き相手として好いているのに」


