「正義の味方ではなく、みんなの味方なのではないでしょうか。とても素晴らしい方だ。役柄がなくとも、己自身で“在る意義”を見つけている。
やれること、やりたいこと、すべきこと。全てが善に繋がるなんて、私も見習わなければですね」
「姫、横やりしますが……その、あなただって、俺から見れば素晴らしい人です」
と、他意はない気持ちでクロスは素直に口にしたつもりだったが――笑われた。
「な、二人してっ。俺は事実を述べたわけで」
「いやぁ、いい騎士様ですね。お姫様一番に考えているあたりが、かーっ、いいね。若いのはやはりこう熱がなきゃ」
「熱血君なのですよ、クロスは。こうやって普通に事実を楽しくさせてしまうのですから」
「ちょ、俺の話を……!」
「ああ、すみません。クロスが大分、無自覚なことを言うもので。あのね、クロス。そうやって、他人をとやかく言う前に、『お姫様を守る騎士様』もまた、素晴らしい善人なのですよ」


