姫様とウサ耳はえた金髪童顔



「人助けです」


言って、主催者は紅茶をすすった。ただ、紅茶が苦手なのかあまり美味いという顔はしていない。


「人助け……、ふふ、なるほど、なるほど。それがやりたいこととなれば、確かに、他人から貰ったような役名でするのは頂けない。

人を助けるのは偽善ではいけず、仕事でもいけない。心根から人を救いたいと思わなければ、そも、やれることでもありませんからね」


「姫、いったい……」


「なに、私たちの前にいるこの方は、正真正銘の“善人”なだけの話ですよ」


説明されても分からないといった感じでも、どことなくクロスは察した。


善人。偽善ではなく、心根から人を救う善き人。


「お姫様が言う善人かどうかは知りませんが……偉いもんでもないよ、私は。ただ治安を守る男なだけだ。私には悪を裁く武器もあって、権利もある。

だったら、人を救いたいをやりたいことにするのは……かっこよく言えば使命にも思えるかね。まあ、私にはそれ以外に取り柄がないと言えばカッコ悪いですけども」