姫様とウサ耳はえた金髪童顔




花や草だって見たこともないような種類ばかり。


ハート型の花など見ていて気持ち悪かった。


可笑しな場所というよりも、世界そのものが変わったよう。


まだ寝ぼけているのかと、彼は自分の頬をつねるが。


「いて……っ」


虚しく現実を知ってしまう。


さすがに焦りが出てきた時。


真っ先に彼が思ったのは。


「姫……、そうだ、姫!姫、いらっしゃいますか!」


自分が仕える主の安否。

屋敷で寝ていて、こんな場所に着てしまったのだ。


同じ屋根の下に住む彼女に、何もないというには早すぎる。


訳も分からない世界を彼は走った。


姫、姫と連呼しながら。


広い森なのか、薄気味悪い色ばかりが集う自然界は地平線の彼方までそうではないのかと思わせる。