クロスにとって姫は偉大なる人。そんな方が、こんな誰かも分からない奴に丁寧な挨拶など要らぬというのに。
「ほら、クロス、頭を。少しの間、休ませてもらうんですから」
「っっ……」
言われてしまっては何も言えず、彼は白ウサ耳ごと頭を軽く下げた。
「自己紹介が足りてませんよ」
「……、名前はクロス。姫たる彼女の騎士をしている」
「役名は、可愛い可愛いプリティーな白ウサギさんですよね」
「変な着色を入れんで下さいっ」
可愛いだのプリティーだのは恥ずかしいと訴えるクロスをなだめて、姫は椅子に座った。
適当な椅子。主催者からそう離れていない場所に座り、クロスは姫を守るために彼女たちの間に座る。


