「知らんって……」
「こいつの好みはまだ分からない。これから追々と知っていくさ」
その第一テストなんだが、紅茶を前にした犬は顔をあげなかった。わずかに鼻をクンクンさせたようだが、体勢が変わることはない。
やっぱり犬には紅茶なんか似合わないとか思いながら、クロスは自分のカップを口につけた。
「コーヒー派なのか、こいつは」
「さあ、どうでしょう。……ああ、そうだ。ロード、シロップありますか」
「ハチミツでいいならあるぞ」
備えていたか、小さな陶器の瓶、スプーン付きのものを彼女に渡した。
渡されるなり、姫はそのハチミツを犬の前にあるカップに淹れた。かなりの量。半分ぐらい淹れてかき混ぜたわけだが。
――犬が鼻を動かしたあと、初めて顔をあげた。


