カップを渡すために膝を折ったロードに、姫はクロス同様になでなでをした。
ロードの場合は、すぐに頭を撫でる彼女の手を抗うわけだが。
「……で、本当に飼うんだな」
姫の横にいる黒い犬を気だるそうに見ていた。
「ええ、“彼”は私たちの家族ですよ」
「家族、か……」
クロスの予想では、『もといた場所に返してこいっ』と怒鳴るのをイメージしていたのでロードの反応は意外だった。
「ほら、口に合うか分からないが」
ロードが、犬の前にもカップを置いた。
人様が飲むのと同じ器。犬が飲むには何とかいけそうだが、犬に紅茶を与えるのはやはりおかしく見えてしまう。
「何してんの、お前」
「紅茶を渡した」
「犬って、紅茶飲むのか」
「知らん」


